配当が得られるETF・投資信託とは?|退職後の“ゆるやかにお金を活かす”方法

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はじめに|「預けるだけで収入が生まれる」仕組みには注意点も

退職金や貯金を「ただ持っているだけ」では少しもったいない。

とはいえ、リスクの高い株式投資には手を出したくないという方も多いと思います。

そこで注目されているのが、「配当金(または分配金)」を得られる金融商品です。 これらは、資産を持っているだけで、定期的に現金収入(配当金や分配金)を得られる可能性がある仕組みです。

いわば「お金に働いてもらう」方法で、特に退職後の収入源として活用されるケースが増えています。

ただし、どちらも元本保証はなく、価格が下がってしまうリスクもあります。
この記事では、そうしたメリットとリスクの両面をふまえて、「ETF」と「投資信託」について初心者にもわかりやすく解説していきます。

1. 高配当ETFとは?|複数の株をまとめて“おこづかい”がもらえる商品

ETF(上場投資信託)とは、株式や債券など複数の金融商品をひとつにまとめた「投資のセット商品」のようなものです。
個別の株をひとつずつ買うよりも、まとめて投資できるため、手間が少なく分散投資がしやすいのが特徴です。

その中でも「高配当ETF」は、配当金を多く出している企業の株を集めたもので、年に数回、保有しているだけで現金(配当)を受け取れる可能性があります。
いわば“おこづかい”が定期的にもらえるようなイメージです。

ただし、ETF自体の価格は日々変動するため、元本が減るリスクもある点には注意が必要です。

代表例

  • VYM(米国高配当株):主にアメリカの大手企業に投資するETF。3%前後の分配利回りが期待でき、長期的に安定した収入を得たい人に人気です。
  • HDV(米国高配当株):財務の健全性が高い企業に厳選して投資。景気の変動にも強い銘柄が中心で、よりリスクを抑えたい方に向いています。

特徴

  • 証券口座があれば、1株から購入可能。たとえばVYMなら、1株1万5千円前後(※相場により変動)から始められます。
  • 配当は年4回(3カ月に1回)もらえるものが多く、いつ入金されるかのスケジュールも事前に確認できます。
  • 長く持ち続けることで、たとえば「年間12万円の配当を得て、毎月1万円の家計の足しにする」といった使い方が可能です。

注意点

  • ETFは株式市場で取引されているため、価格は毎日変動します。
    たとえば、100万円分購入しても、急な株価下落で90万円や80万円に評価額が下がってしまうこともあります。
  • 米国ETFなどは為替の影響も受けるため、円高になると円ベースの価値が下がることもあります。
  • 値下がりしたときに不安になってすぐに売ってしまうと、損が確定してしまうため、価格が戻るまで落ち着いて保有し続けることができる“心の余裕”も大切です。
  • あくまで「長期保有」(目安として10年以上)が前提の商品であることを理解して始めましょう。
    短期的な価格の上下に振り回されず、じっくりと構える姿勢が大切です。

向いている人

  • 少しでも収入の柱を増やしたい方(たとえば年金の足しに、月数千円〜1万円を得たい方)
  • 預金だけでは物足りないと感じている方(少しのリスクを取ってでも活用したい方)
  • 投資に慣れてきて、分散された株式商品に挑戦したい方(1社の株ではなく、多くの企業にまとめて投資したい方)
  • 長期間(10年以上)保有するつもりで、価格の上下に一喜一憂しない心構えがある方

2. 分配型の投資信託とは?|毎月・隔月で“おこづかい”が得られるしくみ

ETFよりもさらに手軽に始められるのが、分配型の投資信託です。

投資信託は、複数の株式や債券を組み合わせて、プロの運用会社が代わりに運用してくれる商品です。
その利益の一部を「分配金」として定期的に受け取れる仕組みになっています。

たとえば、毎月1,000円〜3,000円といった少額から積み立てることができ、銀行口座からの自動引き落としで無理なく続けることも可能です。

特徴

  • 月1,000円からスタートでき、少額なので家計に負担がかかりにくい(たとえば毎月のおこづかいの一部でもOK)
  • 分配金は毎月・2ヶ月ごと・年数回など、商品ごとに決まっており、定期的にお金が入ってくる感覚を持てる
  • 分配金を受け取らずに、そのまま自動で再投資することも可能(再投資すれば利息が利息を生む「複利効果」が期待できます)
  • ネット証券(楽天証券・SBI証券など)で簡単に購入でき、スマホやパソコンから残高や運用状況をいつでも確認可能

向いている人

  • 投資初心者で、「まずは簡単に始めたい」「難しい操作は避けたい」と考えている方
  • 毎月1,000円〜3,000円程度で、コツコツと積み立てを続けてみたい方
  • 「おこづかい感覚」で、月に数百円〜数千円の分配金を受け取りたい方
  • 相場のタイミングを読むのが苦手で、自動で任せられる運用方法を希望する方

注意点

  • 分配金の頻度や金額は商品によって異なり、必ずしも安定してもらえるとは限りません。
    月によって金額が変動することもあります。
  • 分配金の一部が元本を取り崩して支払われている場合もあり、受け取っているうちに資産全体が減ってしまうこともあります。
  • 商品の価格(基準価額)は日々変動するため、思ったより評価額が増えない、あるいは一時的に下がることもあります。
  • 少額から始められるとはいえ、投資の効果(増減)を実感するまでには数年〜10年単位の時間がかかることが多いです。
  • だからといって最初から大きな金額を一気に投資すると、値動きに不安を感じて途中でやめたくなることも。
    自分のペースで、段階的に増やしていくのが現実的です。

3. どう選べばいい?|ETFと投資信託の違いと使い分け

ETFと投資信託は、どちらも「お金を増やすための投資商品」としてよく似た仕組みに見えますが、実際には使い方や向いている人が異なります

まずは、具体的な違いを表で比べてみましょう。

比較項目高配当ETF分配型投資信託
最低購入額1株あたり約1万〜2万円
(例:VYMなど)
月1,000円〜OK。
ネット証券なら100円単位で積立も可能
分配の頻度年に3〜4回
(3ヶ月に1回程度)
毎月・隔月・年2〜4回など
商品によって選べる
値動き毎日変動あり。
短期で大きく下がることもある
値動きはあるが比較的おだやか。
変動に慣れていない人向け
購入できる場所証券会社(特にネット証券が主流)証券会社・銀行など幅広く対応
管理のしやすさ自分で売買のタイミングを考える必要がある自動積立や分配の再投資設定ができ、初心者でも管理しやすい

使い分けのヒント

  • ETFは、株のように値動きがある商品なので、投資に少し慣れてきた人や、価格変動にもある程度対応できる人に向いています。
    「株と同じように売買できる商品を持ってみたい」「配当金をおこづかいのように受け取りたい」と考えている方にぴったりです。
  • 投資信託は、あらかじめ運用方針が決まっていて、少額からでも積み立てられ、分配金も自動で再投資できる仕組みが整っています。
    そのため、「投資は初めてでよくわからないけど、少しずつ始めてみたい」「毎月コツコツと積み立てていきたい」という方におすすめです。

また、ETFか投資信託のどちらか一方だけを選ぶ必要はありません
たとえば…
「月々の余裕資金で少しずつ積み立て」→ 投資信託
「年に数回のおこづかい感覚で配当が欲しい」→ ETF
このように、使う目的や自分の生活スタイルに合わせて、両方を組み合わせることも可能です。
大切なのは、「無理なく、自分に合った方法で続ける」こと。
焦らず、少額から少しずつ取り入れていくことが、安心できる資産運用の第一歩になります。

まとめ|“守るお金”と“働かせるお金”は、無理なく分けて使う

退職金や長年の預金といった大きな資金を持つと、「どう使えばいいのか」「何か運用しないと損では?」と不安や焦りを感じることがあるかもしれません。

でもまず大切なのは、すぐに使う予定のある生活費を、減らさずにしっかり守ることです。
これは、定期預金や個人向け国債のような、元本保証のある“安全なお金の置き場所”を活用することで実現できます。

そのうえで、数年は使う予定のない余裕資金については、少しずつ「お金に働いてもらう」仕組みを取り入れるのが現実的です。

たとえば:

  • 月1,000円の積立投信で「投資の感覚」に慣れる
  • 年に数回の配当があるETFを少額で買って、「おこづかい感覚」で体験してみる
  • 値動きに慣れるまでは一気に資金を投じず、少しずつ様子を見る

このように、“守るお金”と“働かせるお金”をきちんと分けて管理することで、安心感とゆとりのある資産運用が可能になります。

大切なのは、「無理に増やそうとしない」こと。お金は急には増えません。
投資は値動きがありますし、慣れないうちは不安になるものです。だからこそ、「減らさないことを最優先にして、ゆっくり慣れていく」姿勢が、長く続けられるコツです。

✅ 生活費 → 定期預金・国債など、安全第一で管理
✅ 余裕資金 → 少額ずつ、投資信託やETFで“働くお金”に

このバランスを意識することで、退職後のお金との付き合い方が、ぐっと安心で前向きなものになるはずです。


※本記事は、金融商品の勧誘を目的としたものではなく、情報提供を目的としています。実際の購入・契約にあたっては、ご自身の状況や目的に応じて、よく確認のうえご判断ください。

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