はじめに|まずは「減らさない」ための安心な選択を
退職して、退職金などの長年働いて得たまとまったお金をどう使うか。 それは、多くの方が感じる悩みのひとつでしょう。

せっかくの退職金、無駄にはしたくない

でも投資って難しそうで不安…
そんな方にまず考えてほしいのが、“お金を増やすこと”よりも、“減らさないこと”を重視する選択です。
そのための方法として、定期預金と個人向け国債があります。
どちらも元本が保証されており、初めて資産運用を考える方でも安心して始められる金融商品です。
この記事では、これらの特徴や選び方について、初心者の方でもすぐに理解できるよう、具体的にわかりやすくご紹介していきます。
1. 定期預金とは?|初めてでも迷わず選べる“安心の預け先”
定期預金は、”〇年間だけお金を銀行に預けます”と約束することで、普通の預金より少しだけ高い利息(おまけ)がつく仕組みです。
たとえば「1年定期預金」と言えば、1年間は引き出さずに預けるという意味になります。 その代わりに、普通預金よりもちょっと得になるように利息がつきます。
●元本保証とは?
元本保証とは、「預けたお金が減らないように守られている仕組み」のことです。
たとえば100万円を預けた場合、損をして90万円になるようなことはなく、最低でも元の100万円は戻ってくるという約束がある商品を指します。
さらに、定期預金は預金保険制度の対象であり、預け先の金融機関に万一のトラブルがあっても、1,000万円と利息までは補償されます。
- 元本保証あり(万が一銀行に問題が生じても、預金保険制度により1,000万円+利息まで補償)
- 利率は普通預金より高め(ネット銀行では0.2〜0.5%台の商品も)
- 途中解約すると利息が減る可能性がある
退職後すぐに使う予定のない資金を、「動かさないお金」として預けるのに最適です。
どんな人に向いている?
- 預金と同じ感覚で、安全に資産を保ちたい方
- 1年後・3年後など、使う時期が決まっている資金がある方
- リスクをとらずに、確実に利息を受け取りたいと考えている方
2. 個人向け国債(変動10年)とは?|安心と金利アップの両方をねらえる
個人向け国債は、国(日本政府)にお金を預けることで、あとから利息をつけて返してもらえる仕組みです。 簡単に言えば、”国にお金を貸す代わりに、少しずつお礼がもらえる“ようなイメージです。
その中でも「変動金利型(10年満期)」は、金利が将来上がったときに、受け取る利息も一緒に増えるというメリットがあります。
- 元本保証あり(政府が責任を持って返金)
- 最低金利0.05%保証(金利が下がってもゼロにはならない)
- 金利は半年ごとに見直し、将来の金利上昇に対応
- 1年経過後は中途換金も可能(一定条件あり)
どんな人に向いている?
- 少しでも普通預金より有利な商品を選びたい方
- インフレに備えて金利が上がる可能性に期待したい方
- 銀行預金だけでは心もとないと感じている方
3. 定期預金と国債、どっちがいい?|特徴を比べて、自分に合う使い方を選ぼう
項目 | 定期預金 | 個人向け国債(変動10年) |
---|---|---|
安全性 | ◎ 元本保証・預金保険制度あり | ◎ 元本保証・政府が返金保証 |
金利 | 固定(0.2〜0.5%台) | 変動(金利上昇に対応)最低0.05%保証 |
途中解約 | 原則できるが利息が下がる | 発行後1年経てば可能(条件あり) |
向いている人 | 短中期で使う予定のある資金 | 長期運用も視野に入れたい人 |
どちらが良いか迷ったときは、どちらか一方だけでなく、組み合わせて使うことをおすすめします。
たとえば——
- これから1〜2年の生活費:定期預金で安心して保管
- すぐには使わない余裕資金:個人向け国債で少しずつ利息をもらいながら将来に備える
こうすれば、「いつでも使える安心」と「ゆるやかに育てるお金」をうまく分けて管理できます。
4. よくある質問(Q&A)
Q. 銀行が倒産したら、定期預金はどうなるの?
A. 定期預金は預金保険制度の対象です。もし銀行が倒産しても、1,000万円までの元本と、その利息は国が補償してくれます。
Q. 国債は途中で換金できる?
A. 発行から1年以上経てば、いつでも解約できます。元本はそのまま戻ってきますが、直近1年分の利息の一部が引かれることがあります。
Q. 国債の金利が0.05%って、意味あるの?
A. たしかに今は低めですが、これは最低保証です。世の中の金利が上がれば自動的に利息も上がるため、将来の金利上昇に備えられる点がメリットです。
Q. 定期預金と国債、どっちを選べばいいの?
A. どちらか一方ではなく、使う予定に応じて分けておくのが安心です。近いうちに使うお金は定期預金、長く保管できるお金は国債、といった使い分けがおすすめです。
まとめ|退職後のお金は「守る」ことから始めよう
退職後にまとまったお金を手にしたとき、多くの方が「どう使えばよいか」「少しでも増やせないか」と悩まれます。
でもまず大切なのは、「絶対に減らしてはいけないお金」をきちんと守ることです。
定期預金と個人向け国債は、どちらも元本が保証されている数少ない選択肢であり、投資に不慣れな方でも安心して使える運用方法です。
- 数年以内に使う予定のお金 → 定期預金で確実に保管
- 長期間動かさない余裕資金 → 国債でインフレ対策もしながら安全に運用
こうして目的に応じて使い分ければ、「無理なく・焦らず・守りながら運用する」ことが可能になります。
退職後の生活を安心して過ごすために、まずは“減らさない”ことを基本に考えてみてください。 それが、これからのお金との付き合い方の第一歩になります。
※本記事は、資産運用に関する一般的な情報の提供を目的としており、特定の金融商品やサービスを推奨・勧誘するものではありません。実際の利用にあたっては、ご自身の状況や目的に応じて、よくご確認のうえご判断ください。
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