退職金を安全に運用する方法|投資初心者でもわかる3つの安心な選び方

アイキャッチ画像 資産運用の基本

退職後、まとまった退職金や、これまでコツコツと積み上げてきた預金を、どのように管理し、必要に応じて運用していくべきか。
そうしたお金の扱いに、不安や迷いを感じている方は決して少なくないでしょう。

投資なんてやったことがないから怖い

預金だけで今後の生活が本当に大丈夫なのか心配

そうした声を、私自身、退職した両親から実際に聞いてきました。

この記事では、このような悩みを抱える方に向けて、資産を減らさず、無理なく活かしていくための基本的な考え方をご紹介します。

はじめて資産運用を考える方にもわかりやすい形で解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

スポンサーリンク

はじめに

投資詐欺にお気をつけください!

退職金や預金などのまとまった資産をどう運用するかを考えるとき、何よりも先に注意してほしいのが投資詐欺です。

近年は、退職後の資産を狙った高齢者向けの詐欺が急増しており、実際に多くの方が被害にあっています。

たとえば、こんな言葉には注意が必要です。

  • 「元本保証で年10%の利回り」
  • 「今だけの特別な投資」
  • 「あなただけに教える投資戦術」
  • 「絶対に損しないから安心」

これらは一見、信頼できそうに聞こえますが、金融の常識から見れば非常に不自然です。
個人的に、投資の世界で「絶対」とか「必ず」といった言葉を使っている場合、ほぼ全てが詐欺を疑っていいと思います。

万が一、不安を感じたり、お一人で判断がつかない場面があれば、すぐに契約せずに一度立ち止まってください。

そして、以下のような信頼できる相談先に確認を取りましょう。

この記事では、そうした被害に遭わず、安心して運用できる選択肢を紹介していきます。

まずは「騙されないこと」から始める。それが何よりも大切です。

「この投資は絶対に儲かる」と言われたら要注意。
退職金を狙った金融詐欺が増えています。騙されないために、よくある手口と対策を事前に知っておきましょう。
↓詳しくはこちらの記事で解説しています↓
👉 退職金詐欺に注意!高齢者を狙う金融トラブルと見抜き方

退職金は「守る」ことが最優先

退職金は、現役時代の長年の努力の証であり、老後の暮らしを支える大切な資産です。
この先の暮らしをどう築いていくかを考えるとき、大きな安心材料でもあり、同時に不安の種にもなるかもしれません。

このお金を減らしたくない

でも、ずっと預金にしておくだけでいいのか…

そんな葛藤を抱える方も多いのではないでしょうか。

資産運用というと、難しそう、怖い、と感じる方もいるかもしれません。
だからこそ、大切なのは「大きく増やすこと」ではなく、安心して持ち続けられる形で「減らさない」方法を選ぶことです。

この記事では、そうした視点に立って、初心者の方でも取り入れやすい3つの運用方法をご紹介します。
無理なく、そして不安なく始められるヒントになれば幸いです。

1.定期預金や個人向け国債で資産の“土台”をつくる

資産運用を始めるにあたって、まず最初に考えるべきなのは「減らさないこと」です。
退職金や預金など、大切な資産を守るためには、元本が保証されている“安全性の高い金融商品”を活用することが基本です。

特に、退職後の生活資金として必要な分は、値動きのある投資商品にすぐ回すのではなく、リスクのない選択肢に分けて保管するのが安心です。

以下の2つが代表的な手段です。

定期預金(ネット銀行)

定期預金とは、一定の期間(例:1年、3年など)を決めてお金を預ける金融商品です。
通常の普通預金よりもやや高い利率が設定されており、満期まで引き出さなければ元本(預けたお金)と利息が保証されるのが大きな特徴です。

●元本保証とは?
元本保証とは、「預けたお金が減らないように守られている仕組み」のことです。

たとえば100万円を預けた場合、損をして90万円になるようなことはなく、最低でも元の100万円は戻ってくるという約束がある商品を指します。
さらに、定期預金は預金保険制度の対象であり、預け先の金融機関に万一のトラブルがあっても、1,000万円と利息までは補償されます

  • 元本保証あり
  • 利率は低めだが安定性が高い
  • ネット銀行などでは年0.2〜0.5%台の定期もあり、普通預金より有利

短期的に使う予定がないお金を、確実に「保管」する手段として適しています。

※預金保険制度では、万が一の場合でも預金者1人あたり元本1,000万円とその利息が保護されます(詳細は預金保険機構公式サイトをご覧ください)。

個人向け国債(変動10年)

個人向け国債は、国にお金を預けることで、あとから利息をつけて返してもらえる仕組みです。
日本政府が発行しており、元本が保証されているため、非常に安全性の高い商品として知られています。
中でも「変動金利型(10年満期)」は、銀行や市場の金利水準に連動して利率が変わるため、金利が上がれば利息も増える仕組みです。

  • 最低利率0.05%保証(どんなに金利が下がっても利息ゼロにならない)
  • インフレ時に金利も上昇しやすいため、預金よりも有利になりやすい
  • 発行から1年経てば、中途換金も可能(※受取利息の一部が差し引かれるなどのルールがあります)

国が元本を保証しているため、「銀行の預金よりも少し有利な運用をしたいけど、リスクは避けたい」という方には特に適しています。

▶︎実践ポイント|「動かさないお金」をまず確保する

退職後の資産運用では、すべてを一気に投資に回すのではなく、まずは生活費1〜2年分を「動かさないお金」として別にしておくことが最も重要です。
この部分は、万が一の医療費や物価上昇への備えにもなります。

定期預金や個人向け国債のような安全性の高い資産を「土台」として持っておくことで、残りの資産を安心して“活かす運用”に回すことができます。

投資が怖いなら、まずは「減らさない運用」から。
元本保証のある定期預金や個人向け国債は、退職後の生活資金を安全に保管する心強い味方です。
↓詳しくはこちらの記事で解説しています↓
👉 定期預金・個人向け国債で資産を安全に守る|退職後も安心な運用法とは?

※個人向け国債の金利や最低利率については、財務省公式サイトをご確認ください。

2.毎月の配当が得られるETFや投資信託を少額から始める

退職後の資産を「大きく増やす」よりも、「減らさずに、ゆるやかに育てたい」と考える方には、配当金(分配金)が得られる投資商品が選択肢になります。

これらは、資産を持っているだけで定期的に現金が受け取れる仕組みで、年金のような感覚で利用できるのが特徴です。
毎月の生活費の一部を補う“補助的な収入源”として活用する人も多く、特に退職後の安定感を求める方に向いています。

高配当ETF(例:VYM、HDVなど)

ETFとは、いくつもの株式をセットにして購入できる「投資の詰め合わせパック」のような商品です。
中でも高配当ETFは、企業からの配当金(利益の一部の還元)が多い銘柄を集めて構成されており、年に数回、分配金を受け取ることができるのが特徴です。

●ETFとは?
ETFとは、「いろいろな株をまとめて買える、投資のパック商品」のことです。
たとえば、特定の1社の株だけを買うのではなく、数十〜数百の会社の株をひとつにまとめたセットを買うイメージです。
少額から始められて、リスクを分散しやすいのが特徴です。

  • VYM(米国高配当株ETF):主にアメリカの安定した大企業で構成され、分配金利回りは3%前後
  • HDV(米国高配当株ETF):財務の健全性が高い企業を中心に構成され、安定感が強い

どちらも少額(1株単位)からネット証券で簡単に購入可能で、円からでも投資できます。

▶︎実践ポイント

  • 配当金を「おこづかい感覚」で受け取るか、再投資に回して資産を増やすかは自由に選べます
  • はじめは少額からスタートし、値動きや配当の感覚に慣れていくのがおすすめです
  • ETFは“働くお金”として資産の一部に組み込む使い方が現実的です

※ただし、高配当ETFは日々の値動きが激しいです。
例えば、「100万円分のETFを購入したのに、短期間で評価額が90万円になってしまった」なんてことが起こり得ます。
→数日や数ヶ月の短期間の値動きに惑わされず、10年以上の長期間の運用を目指しましょう。

分配型の投資信託(1,000円〜購入可能)

ETFよりもさらに手軽に始められるのが、分配金付きの投資信託です。
投資信託とは、いろいろな会社の株や国の債券などを、ひとまとめにしてプロが代わりに運用してくれる商品です。
その中でも「分配金付き」のタイプは、あらかじめ決められたタイミングで、運用益の一部が“おこづかい”のように支払われる仕組みになっています。

  • 分配金を再投資にまわす「自動積立型」も選べるため、運用効率を高めたい人にも向いています
  • バランス型投信(株+債券)などは、値動きが比較的ゆるやかで初心者にもおすすめです

多くの投資信託は、楽天証券やSBI証券などのネット証券で簡単に購入・管理できます。

▶︎実践ポイント|「年金のような感覚」で余裕資金を活用する

退職後の生活費にゆとりを持たせたいと考える方にとって、配当や分配金は“補助的な収入源”として非常に有効です。
最初から大きな金額を投じる必要はなく、余裕資金の一部を少額ずつ回すことで、心理的にも負担なく続けられるのが大きな魅力です。

「生活費のベースは定期預金や国債で守る」「そのうえで、余裕資金は少しずつ働かせる」
このバランスが、退職後の資産運用において重要な考え方です。

「少しずつでもお金を働かせたい」なら。
ETFや投資信託で配当を得る方法もありますが、元本割れリスクもあるため注意が必要です。特徴と始め方を解説しています。
↓詳しくはこちらの記事で解説しています↓
👉 配当が得られるETF・投資信託とは?|退職後の“ゆるやかにお金を活かす”方法

3.ロボアドバイザーで「おまかせ運用」という選択肢も

何に投資すればいいかわからない」、「なるべく手間をかけたくない
そんな方には、ロボアドバイザー(自動運用サービス)が向いているでしょう。

年齢や資産額などの質問に答えるだけで、AI (人工知能)が自分に合った資産の配分を自動で設計・運用してくれる仕組みです。
株や債券などに分散投資してくれるうえ、資産の調整や税金対策も自動で行われるため、専門知識は不要です。

代表的なサービス

  • WealthNavi(ウェルスナビ):NISA対応。信頼性が高く、長期運用向き
  • THEO(テオ):1万円から始められる。画面がわかりやすく操作が簡単

※いずれも金融庁に登録された正規のサービスです。。

実際にできること

  • 1万円からスタートできる(サービスによってはもっと少額からも可能)
  • 運用プランの見直しもボタンひとつで完了
  • 利用者専用アプリで、スマートフォンから残高や運用状況をいつでも確認可能

▶︎実践ポイント|「自分で選ばなくていい」から、始めやすい

ロボアドバイザーは、自分で銘柄を選ばずに投資を始めたい人にぴったりです。
スマホ操作に慣れていて、「少しずつ、着実に資産を増やしたい」という方には、安心して続けられる方法としておすすめできます。

  • スマホやパソコンの基本操作に抵抗がない方
  • 毎日こまめに運用状況をチェックしたくない方
  • 長期でゆるやかに増やしていきたい方

このような方には、手軽で負担の少ない選択肢として非常におすすめです。

※ただし、こうした便利さの反面、ETFや投資信託よりも手数料はやや高めです。
「全部おまかせで安心して運用したい」という方にとっては、その分の価値があるサービスとも言えるでしょう。

「何を選べばいいか分からない」なら、自動運用という選択肢を。
ロボアドバイザーなら、スマホだけで投資が完結。自分で商品を選ばず、長期的な資産運用が始められます。
↓詳しくはこちらの記事で解説しています↓
👉 ロボアドバイザーとは?退職金を自分で運用しなくていい“おまかせ投資”という選択肢

※ロボアドバイザーの手数料や運用方法については、各公式サイトをご参照ください。

まとめ|資産は「分けて」「守って」「少しずつ活かす」

退職金のような大きな資金を運用する際に最も大切なのは、無理をせず、目的に合わせてお金の役割を分けることです。

以下の3つの視点を意識すると、リスクを抑えながら、生活の安心感を保ったまま資産を活かすことができると思います。

1. 生活費に充てる資金は、減らさず安全に保管する

定期預金や個人向け国債など、元本保証のある金融商品を活用することで、生活に必要な資金を安全に守れます。
まずは2〜3年分の生活費を確保し、万が一のときにも慌てずに済むように備えることが基本です。

2. 余裕資金は、収入を生む「働くお金」として活用する

高配当ETFや分配型の投資信託は、資産を持っているだけで定期的に収入(分配金)が得られる仕組みです。
退職後の年金にプラスする「補助的な収入源」として、少額からでも始めていくことで、資産に働いてもらうことができます。

3. 自分で判断が難しい場合は、信頼できる仕組みに任せる

何を選べばよいかわからない、細かい管理に自信がないという方は、ロボアドバイザーのような自動運用サービスを利用するのも一つの選択肢です。
投資の知識がなくても、リスクを抑えた分散投資が実現できる仕組みになっています。

一度にすべての資産を動かす必要はありません。
むしろ、資産を「守る」「増やす」「任せる」といった目的別に分けて管理することが、退職後の生活に安心をもたらします。

焦らず、少しずつ、自分に合った形で進めていくことが、長く続けられる資産運用につながります。

最後に

本記事は特定の投資商品を勧誘・推奨するものではなく、あくまで筆者自身の経験と考えに基づく一般的な情報提供を目的としています。

退職金をどのように使うかは、人生の後半を左右する大切なテーマです。
迷いや不安がある方の判断材料のひとつとして、少しでも参考になれば幸いです。

コメント